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復讐の味は甘い果実に似て
第6章 絶望へのいざない ~ひかるの告白~
 そして、ついに復讐の当日がやってきた。
 11時、テニスサークルのコートで汗を流していたあたしに、先輩からメールが入ったのだ。

「復讐の会場はリージェントホテル26階のセミスイートルーム。19:00に恵梨を連れてきてくれ。」

 どうやら場所は明日香のときと同じようだった。
 明日香に聞いたところだと、間取りが3つもある大きな部屋らしい。
 ロストバージンの場所が、場末のラブホテルや彼氏の部屋などでなく、格の高いホテルのセミスイートというのはそれだけ取れば喜ぶべきことかもしれない、とあたしは思ったが、これから自分の身に起こることは、そういう甘いときめいた話ではないはずだ。

 それより、あたしにとって問題なのは、当の本人である恵梨が姿を見せないことだった。
 ちょうど後期テストが終わって1日経ったところで、サークルのメンバーたちは水を得た魚のようにコートに出てきて、ボールを打ち込んでいたが、恵梨はまだ、サークルにも顔を出していなかった。

 結局、今日も、恵梨はサークルには顔を見せず、あたしが出した呼び出しのメールにも、返信してこなかった。
 恵梨にも、先輩から、あたしと同じ内容でメールは出ているはずなのに。
 3回ほど、電話も入れたけど、折り返しもなく、全くの無しのつぶてだ。
 
 まさか、本気でこの復讐から逃げる気なのだろうか。
 そんなことは許せなかった。
 あたしや明日香をだまし、先輩を裏切り、そして、あたしが処女まで奪われるというのに、当の自分だけが素知らぬ顔で逃げるなんて。
 そんなことをしたら、あたしも明日香も、恵梨を一生、許さないだろう。

 時計が17時を回り、すでに指定の時間は迫っていた。
 あたしは明日香に声をかけると、二人で恵梨のアパートへ向かうことにした。

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