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復讐の味は甘い果実に似て
第6章 絶望へのいざない ~ひかるの告白~
 どれくらい時間が経ったのだろう。
 あたしは先輩に体を寄せたまま、目を覚ました。
 恐らく、もう、明け方に近い時間のはずだ。
 だけど、そのとき、あたしの耳に聞こえてきたのは、くぐもった艶めかしい声だった。

「……んんっ! ああっ……んっ……はあっ……んんっ!」
 ……恵梨だ。
 恵梨が、隣の部屋で、自分でしてるんだ。
 あたしの体を抱いていた先輩の手がピクリと動き、思わずあたしは先輩を見た。
 
 先輩は眠っていなかった。
 恵梨の艶めかしい呻きを、恵梨が自分で慰める喘ぎ声を、先輩は身じろぎもせず、じっと聞いていた。
「ねえ、恵梨ってば、自分でしてるんですね……。」
 あたしは妙な優越感を覚えながら、先輩に体を寄せた。
 だが、先輩はあたしに返事をせず、押し黙ったままだ。

「……恵梨のことが気になるんですか?」
「いや、そうじゃないけど……。」
 先輩はあたしから目を逸らすと、言葉を濁した。

 ああ、恵梨はまだ、この人の心の中に居座り続けているのだ。
 この人を復讐に駆り立てるほど絶望させておいて、それでも図々しく心の中に住み続けるなんて。
 許せない、とあたしは思った。
 あたしは先輩の口の中に深く舌を差し入れて、再び、先輩を求めた。

 消してやる。
 この人の心の中に棲みついた恵梨という幻影を。
 溺れるほどにあたしを貪らせて、快感の中で何もかも消し去ってやる。
 もう、一片の思慕だって、残させはしない。
 
 あたしは先輩のペニスに手を伸ばすと、指でカリのまわりを弄ぶ。
 そして、十分に硬くなったところで、根元からねっとりと舌で舐め上げる。
 さっき、先輩自身が教えてくれた、先輩の悦ばせ方。
 
 下から、せつなげな顔で先輩の目を見つめて、裏筋に舌を這わせ、唇で甘噛みする。
 そして、そのまま口をすぼめて喉の奥まで咥え込んであげる。

 それだけじゃない。あたしの唾液を塗したペニスを、おっぱいで挟んで愛撫する。
 あたしの胸の谷間から顔を出す、カチカチに硬くなった亀頭も、あたしの舌でねっとりと舐ってあげる。

 ねえ、先輩、もう、あたしはこんなにも、あなたを気持ちよくできるんだよ。
 何も考えず、ただ、あたしを、あたしの体を貪って。

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