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復讐の味は甘い果実に似て
第9章 さよならという儀式 ~ひかるの告白~
「それと、先輩にも。」
 明日香が、今度は先輩の方を向いた。
「この前の復讐の日にわたしの彼は「寝取られ」というのに目覚めてしまいました。要するに、恋人が他人に抱かれることに悦びを覚えてしまう、ってやつです。」

「君が、今日の話を僕に申し出たのは、それが理由なのか?」
「……動機の何割かは。多分、浩二は、今、わたしが先輩に犯されるのを想像しながら、オナニーしているでしょう。わたしがされていることを確認したくて、電話をかけてくるかもしれません。そういうわけですから、先輩にも協力してもらいます。」
 先輩は、自分には理解できない、という態で首を振った。

「ここで僕が君を抱けば、彼は満足するということか?」
「……いえ、ただ抱くだけではダメです。わたしを、思い切り淫らに犯してしてください。電話の向こうの浩二に、わたしがイクところを聞かせて、悦ばせてあげたいんです。」
「……大変だな、君も。元はと言えば、僕のせいかも知れないが。」

「できれば、もう、こういうのは、これで最後にしようと思います。だから、これ以上ないくらいに、激しくわたしを嬲り抜いてください。」
 明日香の言葉に先輩が苦笑した。
 嬲り抜いてくれ、という言葉が、とても女の子の口から出てくるものとは思えなかったのだろう。

 けれども、そのお願いは、あたしも同じだった。
 少なくとも、今の先輩とあたしの関係は、理性的に話せるようなものではない。
 お互いの肌の温もりと、快感を貪り合う中でしか語り得ないものなのだ。

 そして、明日香の言葉で、あたしたちは長い淫らな宴へとなだれ込んでいった。

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