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復讐の味は甘い果実に似て
第4章 背徳のなかで ~明日香の告白~
 そして、夜の18:20。
 わたしと恵梨は都心に向かう電車の中にいた。
 恵梨は、わたしの手前もあって、悄然とはしていたけれども、未だに楽観的に考えているように見えた。
 俊ちゃんは、復讐なんてできる人じゃないし、多分、大丈夫だよ。
 もし、そういう雰囲気になったら、私が俊ちゃんとすればいいだけだし。
 電車に乗る前に恵梨がそう話しかけてきて、あまりのお花畑ぶりに、わたしは頭を抱えてしまった。
 
 もう、今の先輩は、あなたの知ってる優しい俊ちゃんなんかじゃない。
 自分を最悪な形で裏切った恵梨に、ひたすら怨念をぶつけようとする復讐鬼なのだ。
 わたしは恵梨に、先輩はあなたに復讐するためにわたしとセックスするんだよ、と言ってやったが、とても分かっているようには思えなかった。


 しかし、今晩のわたしにとって、最大の問題は、おそらくわたし自身だった。
 今夜、わたしは自分の意思で、彼氏以外の男に抱かれる。
 それも、復讐の道具にされて、恵梨の目の前で、欲望のままに弄ばれる。
 
 ああ、先輩は、あの怒りを宿した冷たい目の男は、どのようにわたしを犯すのだろう。
 
 そのことが、どれほど背徳的なことであるかはわかっているはずなのに、わたしは自分の心が激しく昂るのを感じていた。
 正直な話、浩二が連絡してこないことがありがたかった。
 夜、ベッドのなかで、先輩に犯されながら激しく身悶えする自分を想像すると、わたしの体は火が付いたように熱くなり、下腹部がどうしようもなく昂ってくる。
 そして、わたしは熱い疼きのままに、指をショーツに差し入れて自分を慰めていたのだ。
 こんな浅ましい衝動を、浩二にだけは知られたくなかった。
 
 そして、今も、わたしは電車の中だというのに自らの昂りを抑えられないでいた。
 すでに、わたしのショーツは哀れなほどに濡れていて、ストッキングに垂れてこないよう祈るしか術の無い有様だったのだ。

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