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復讐の味は甘い果実に似て
第4章 背徳のなかで ~明日香の告白~
 そして、わたしは恵梨への怒りを抑えて、先輩に声をかけた。
「あの、先輩、お風呂入りませんか? 背中、流しますよ。」

「……ねえ、明日香、もう俊ちゃんのことは、わたしに任せてくれていいから。」
 恵梨が明らかにわたしを厄介者扱いしてきたが、もう、わたしも引く気はない。

「恵梨、何か、勘違いしてない? 今夜のあなたは、ただの傍観者でしょ?」
 恵梨に宣戦布告の一撃を加え、わたしは先輩の手を取ってバスルームへ連れていく。

 
 わたしは椅子に先輩を座らせると、うなだれた背中をシャワーで流し始めた。
 理工系の院生とか、正直、大方はデブかモヤシなんじゃないか、という偏見があったが、この先輩はかなり均整のとれた体つきをしている。

 改めて見ると、顔も理知的だし、ファッションとか髪型とかに気を使えば、実は、かなりモテる部類なんじゃないかと思う。
「……すまなかったな。こんなことになってしまって。」
 がっくりと肩を落として、先輩が私に謝ってきた。

 わたしは何も答えず、今度は先輩の前に回って、腕にシャワーのお湯をあてた。
「さんざん君たちにえらそうなことを言って、ピルまで飲んでもらって準備したのに、いざというときにこれじゃあな。情けないよ。」

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