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復讐の味は甘い果実に似て
第1章 終わりと始まり
 今にして思えば、先生はバイトと言いながら、僕が研究所というところで働いていくうえでの最低限の仕事を実戦形式で教えたかったんだと思う。
 先生の解析データを文書に取りまとめるのはもちろん、この分野については○○大学の××先生が詳しいから出向いてレポートを取ってこい、とか、やることは山ほどあった。それは先生のありがたい親心で、そのことはわかっていたから、僕も必死で取り組んだ。

 結局、僕は就職を決めてから、1カ月も立たないうちに、就職が決まる前と同じレポートやら報告書やらに追われる生活に戻ってしまった。次第に、アパートに帰れない日も多くなっていたが、恵梨へのメールや電話は、ほとんど毎日のようにしていたと思う。

 3カ月ほどそういう生活が続いて、街にクリスマスのイルミネーションが飾られるようになったころ、ようやくこの仕事にカタがついた。先生に調査案件を委託してきたうちの1件は僕の内定先の研究所で、先生は報告を僕に任せてくれた。出来上がった報告資料は先生がかなり手を入れてくれたけれども、それでも悪くない出来だった。

 報告後の懇親会では、酒の回った先生が、恵梨のことを研究所の人にばらして、いろいろと盛り上がった。
「こいつはねえ、こんなすました顔をしてるくせに、もうちゃんと、将来の嫁を確保していやがるんだよ。まじめなやつだと思ってたのに、やるこたあ、ちゃんとやってる。」
 先生が僕の肩を叩いて絡みだしたのを皮切りに、それは実に怪しからん、初任給を下げてやる、などと研究所の人が冗談を言い出して、笑いの中で宴が終わった。
 いい感じで酒の入った僕は、この上なく幸せな気分に包まれていた。
 これで僕は、恵梨と一緒にいることができる。

 少なくとも恵梨の両親には、彼女の卒業を待って結婚したいと思います、ついては彼女と婚約させて下さい、と言えるはずだった。

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