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第1章 1　淡白な夫の特効薬

　紀和との結婚生活に不満はなかった。

　夜が淡白と言う事を除けばだ。

　ままごとの様な結婚と言われながら、あたし達は新婚生活をスタートさせ

た。
　親類の大方の予想を裏切って、夫は優しくユーモアに富み細かい所に気が

付き何事にも大人の対応が出来る理想的な相手だった。

　あたしは自分の生活の変化を含め夫のためにならどんな事でも頑張ろうと

決めていたけれど、拍子抜けするほど妻の役割は気楽だった。

　子供が出来るまでは主人とのこの楽しい時間が続くと考えた。

　それほど新婚生活は理想的だと思えた。

　夜が蛋白と言うただ一点だけを除けばだ。

　主人は結婚前からさほど絶倫と言うほどではないのは分かっていた。だか

らあたしが頑張って楽しい夫婦生活を演出するのだと言う気負いがあったの

も事実。

　フィジーへの新婚旅行の間中、彼は毎日あたしを愛してくれた。

　新婚旅行から帰って来て三カ月は二日に一度は愛し合っていた。

　半年後は一週間に一度になり、一年たったら月に一度。

　結婚後２年たった現在は、こちらからアプローチしないとまったく音沙汰

がない。