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サディスティック・マリッジ
第7章 嫉妬狂い
ガシャンガシャガシャ─────ン‼︎
ド派手な音を立て、愛里咲が豪快に転ぶ。

男性社員分のお茶やその湯呑みがあちこちに飛んでいる。

「ちょっ…大丈夫⁉︎ 」

流石に見兼ねて、先輩女子社員の1人が駆け寄った。
いつだったか、津川に楯突いてくれた松田だ。


「あーあ、ホント鈍臭い」

「役立たず」

津川と伊藤は腕組みをし薄ら笑いを浮かべて、蹲る愛里咲を見下ろしている。


「……津川さんが足引っ掛けてましたよね?」

テキパキと割れた湯呑みや零れたお茶を片しながら、松田は津川を睨む。

「はぁ? 私? 知らなぁい」

津川はそう言うと、伊藤と顔を見合わせてクスクス笑った。


「千葉さん、大丈夫?」

5月の半ばとなり冷ましたお茶だったため火傷はしていないが、そのほとんどをかぶりびしょ濡れの愛里咲。

その頭にパサリとワイシャツが掛けられた。
ワイシャツからフワリと香る琉の匂い。


「琉くん! ワイシャツ濡れちゃうよ?」

津川の声のトーンが急に高くなる。

「でも千葉さん、びしょ濡れで……透けてるから……」

ハッとして愛里咲が自分の身体を見れば、濡れて透けたブラウスからくっきりと下着の線が見えていた。


「着替えある?」

松田の言葉にコクリと頷く。
いつ、どこで、何をされるかわからないため、常にロッカーには着替え用のスーツを2着は入れてある。

「着替えておいで」

松田に促され愛里咲が立ち上がった。



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