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8月のヒメゴト ~僕と桃香の7日間~
第8章 永遠
木々がざわめいていた。
風が吹いているのだろう。
しかし僕はそれを感じることができない。
暖かいのか寒いのか、それさえもわからない。

家族も友人もいない。
人としての生活は失われた。
眠ることさえない。

肉体はある。
もし誰かに包丁で刺されたら、血は流れる。
でも痛みは感じない。死ぬこともない。
いや、死ねないのだ。永遠に。

美しい風景だ。
季節は春か。
新緑に彩られた山。きらめく湖。

あれから何十年経ったろうか。

斉藤彩ちゃんは、あのときの記憶を消された。
体も、僕が抱く前の処女の状態に戻された。
今は結婚して、子供もいるらしい。
幸せであればと願う。
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