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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第10章 甘い微熱と寂しさと






────熱を出してから一週間後。



やっっと風邪が治った……!

身体ってこんなに楽なものだったっけ?
頭も痛くないし、だるくないし、
視界も全然ボヤけない。

素晴らしい、生きるって素晴らしい。

熱が治った嬉しさで思考が浮きまくってるけど、
気にしないぞ。

気にしたら負けだ。


そんなこんなで気分ルンルンで出勤です。

いつも通りに職場のドアを開けて、
部屋に足を踏み入れると────






「「「ユイ先輩あの話は本当ですか?!」」」
「へっ?!」





突如女の子たちに囲まれた。
そして謎の質問をされた。

なになに、あの話ってなんのこと??


「えっと、なんの話だっけ?」


とりあえず、とぼけて彼女たちから内容を聞き出す。
すると、彼女たちの口からまさかの言葉が飛んできた。







「あれですよ!ユイ先輩は亡くなった白馬くんの妹さんにそっくりっていう!」



「────はい?」







ま、待って待って待って。

一体なにが起きてるの?!
もしかしてこれ?
これなのか?!

白馬くんが言ってた、「ちょっと大変かもしれないけど口裏合わせよろしく」ってやつは!

席に座る白馬くんの方に目をやれば、
彼はニパッと悪意のない笑顔をこちらに向けてきた。


はい、犯人確定(真顔)


死んだ目になった私に、
彼女たちは更に驚きの言葉をかけてきた。



「あの情報通な蛇塚さんが仰ってたんです!だから確かな情報なはず!」



嘘でしょぉぉぉぉぉ?!

蛇塚さんにまで協力してもらったの?!
確かに彼が頼めば
彼女は喜んで協力すると思いますけど!

うわぁどうしよう、
とにかくここはいい感じに合わせなきゃ。


「う、うん、なんかそうみたい。だからこの前も放っとけなかったらしくて……。」

「あぁなんて切ないお話……!白馬くんの家族愛がヒシヒシと感じられて胸が締め付けられます……!」


す、すごいなぁ。
恋は盲目とかよく言ったものだよ。

こんな適当な口裏合わせでお涙頂戴の話に飛躍した。


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