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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇


「ふふっ、ありがとう。蛇塚さんモデルできそうなくらい綺麗だよね。」
「ハイデス!お二人とも似合うデス!」


フリが子供のようにはしゃぎながら褒めてくれる。

すると、そわそわする蛇塚さんの元にうさが近づいた。
反応が怖いのか、
ビクリと肩をはねさせ俯く彼女。

私も何を言うんだろうと思って見守ってたんだけど。



「……似合ってんじゃねぇの。」



視線を逸しながら、ポツリと告げられる彼の言葉。

蛇塚さんがびっくりしたように、
勢いよく顔を上げる。

顔が真っ赤で目も潤ませて、すごく嬉しそう。


────なのに。



「う……、兎に褒められても複雑ですわ!」 



照れ隠しなのか
彼女がうさのお腹に思い切りパンチをかました。


「いってぇ!んだよ褒めただけじゃねぇか!」
「ううう嬉しくなんて!あ、えぇっと、やっぱり少しは嬉しいですけどとにかく複雑ですの!」


彼女は変わらずうさのお腹にパンチをかましていく。
それでも相変わらず、うさは反撃しない。

けっこう痛そうなんだけどね。

そんな微笑ましい光景を眺めていると、
突然わたしの元に影が落ちた。

不思議に思い顔を上げると、
ふいに大きな手に両頬を挟まれる。


……目の前には、顔が整いすぎてるほどの美形王子様。


優しく微笑みながら、甘く囁かれる。








「ユイもすっげぇ可愛い。」

「〜〜〜ッ」








からかってくると思ったのに。
思わずボフンと顔が熱くなる。

彼の空気にのまれそうになりながらも、
彼の手首を掴んで抵抗する。


「……白馬くん、その、ここ公衆の面前だから……。」
「ん?あぁそうだね、ごめんごめん。」


そう言うと、彼は案外あっさりと離してくれた。
雰囲気もいつも通りに戻ってる。


良かった、なんて。

これでホッとした私が甘かった。



「先輩マジで似合ってるよ。いや、ホント────」



そう言いながら、彼が私の耳元に唇を寄せ、
熱っぽく掠れた低い声で。












「今すぐ食べちゃいたいくらい。」



「っ…?!」









甘すぎる言葉を耳に吹き込まれた。

バッと顔を避けると、
そこにはギラついた目で私を射止める獣が。


……彼に調教された身体がゾクリと粟立つ。


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