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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇


ミシミシと音がしてきそうなほど彼女が強く握る。
それでも、うさは怒らないし手も出さない。

二人ってどんな関係なんだろう。
とりあえず蛇塚さんがかなり優位に立ってるよね。

そんなことを思いながら、
一人ぼぅっと突っ立っていたとき。



「Hey! Are you lost? Would you like to go somewhere from now?」



今度は私の方に問題が発生したァァァ!

私に話しかけたのは、ガタイのいい外国人男性二人。

まずい、文法知ってるけどリスニングが皆無という
日本人あるあるが発動してる。
なんて言ってるのかサッッパリわからない!

でも雰囲気的に明るい感じだし、
yesって言っておこう。



「あー……い、いえ…っんぅ?!」



そのはずが、突如後ろから口を塞がれる。

え、待って真面目に誰?
これ多分ヤバイやつだよね?

危機感を感じながらも、
恐る恐る口を塞ぐ人物に視線を向けると。



「Nono, She doesn't get lost and she is with me.」



ニコニコと彼らに英語で返す、フリがいた。

そっか、さっき蛇塚さんとうさから逃げてたもんね。
知ってる顔に心底ホッとする。

ネイティブ同士でなにやら会話を繰り広げながら、
外国人男性が踵を返して笑顔で去っていった。


私の口を塞ぐフリの手がそっと離される。


「フリありがとう、すごく助かった……。」
「いーえー。迷子なら一緒にどこか行きましょってお誘い受けてただけデスヨ〜。特に変な人ではなかったデス。」


お、おおう。
イエスって答えてたら結構大変なことになってたのか。
本当にフリが来てくれて良かった。


「それはいいとして、黒哉クンがちょっと大変そうなのでユイサン助けに行ってあげてクダサイ。僕行っても悪化しちゃうノデ。」


フリが指を指しながら、困ったように笑う。

彼の指す方向に目を向ければ、
そこには沢山の女の子に囲まれる白馬くんがいた。

いやぁ、私でもあそこに飛び込むと
色んな意味で悪化しそうだけど。



「……うんわかった、頑張ってくるね。」


白馬くんの表情を見るに、
かなり不機嫌そうなので行くしかない。

私はフリに一言そう告げ、彼の方に歩みを進める。

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