この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇


────「それが今に繋がって、こんな感じになってますの。今も片想いしているとか、なんだか可笑しいでしょう?」


こんなにも馬鹿げたお話なのに、
ユイさんは最後まで真剣に聞いてくださった。

彼女はわたくしの方をしっかりと見つめながら、
首をゆるく横に振る。


「全然可笑しくなんてないよ。話してくれてありがとう、蛇塚さんはやっぱり素敵な人だね。」


彼女が柔らかく微笑む。

女々しいわたくしを素敵だなんて、
彼女は本当にお優しい。



「……ありがとう。ユイさんとお友達になれて幸せですわ。」

「ふふっ、私も。うさのお陰だね。」

「あら、それもそうですわね。」



確かに、兎がいなければ
わたくしはユイさんの部署に顔を出していなかったはず。

そこから黒哉様に繋がって、それが兎に繋がった。


こんな偶然あるかしら。
まるで、神様が背中を押してくれているみたい。


……嫌われているという事実に変わりはありませんのに。



「じゃあ皆待ってるし、お土産買って出ようか。」
「ええ。」

ユイさんの言葉に頷き、
二人で選んだお土産を手に取る。

わたくしはあんこと抹茶の生八ツ橋を。
ユイさんはイチゴとチョコの生八ツ橋を選ばれたみたい。


お会計を済ませてお店を出ると、
黒哉様とフリさんと兎、
三人がベンチに腰掛けて仲良さげにお話ししていた。

兎が私達に気づき、パチリと視線が合う。


「おう、やっと終わったかよ。」


……あんなことがありましたのに、
兎の態度は何も変わらない。


「ええ、種類が沢山で悩んでしまって。ね、ユイさん。」
「うんそうだね。」


わたくしが彼女に視線を向けると、
彼女もこちらを見て頷いてくれた。

兎はその様子を見るなりベンチから立ち上がり、
首に手を当てて軽く首を鳴らす。

「うし、じゃあさっさと行こうぜ。そろそろ旅館に向かった方がいいだろ。」
「わーい!行くデース!」

フリさんが手を上げながら喜んで立ち上がり、
黒哉様も後を追うように腰を上げた。

歩き出す彼らの後ろを、わたくしとユイさんが歩く。



大きくなった兎の背中。低くなった声。


彼を見てるとまた気持ちが膨らんで、
教室で聞いたあの言葉は聞き間違いだったんじゃと
変に期待してしまう。




────わたくしって、本当にしょうもない。




/269ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ