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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇


「兎があんな目をするから、つい反射的にといいますか……。胸を触られたことよりそっちの方が衝撃的で……ごめんなさい。」


……あんな目?


「……なぁ蛇、俺そのときどんな目してたんだ?」
「えっ?!」


顔を赤くしてビクッと肩を震わす彼女。

困ったことに、
自分がどんな目をしていたのか全く自覚がねぇ。

真顔でじっと蛇を見つめていると、
彼女は視線を逸らしながら、
心底言いづらそうに小さく答えた。



「……他の男の子と同じ、わたくしを性的に見る目……。」





────ウソだろ。


俺だけはそうならないと決めていたのに。
結局俺もアイツらと同じ穴のムシロになっていたのか?

あの言葉を聞いた後にこれとか、
どんだけメンタルにダメージ負うんだよ。
ガチで自分自身に腹立つわ。


「あっ、あのでも!今考えると嫌というより、あの兎がどうしてあんな目をって、頭が困惑してしまったと言いますか!」


蛇が両手を振りながら、
フォローするように言葉を付け加える。

サラリと聞き流せば良かったのに。
バカ正直な俺はついその疑問に答えてしまった。









「あ?そりゃ好きな女の身体だからに決まってんだろ。」



「────え?」









ホント、俺って馬鹿だ。



「……あっ!」



己の失態に気付き、
急いで手で口を塞ぐも既に遅し。

蛇はバッチリ俺の言葉を聞き取って、
キョトンとした顔を俺に向けてる。


やらかした。マジでやらかした。


顔が熱い。
なに俺サラッと告白しちまってんの?

つか蛇彼氏いるだろうし、
俺が今更んなこと言ったところで困らせるだけじゃねぇか。


「わ、わりぃ蛇、気にすんな!昔のことだから!」


そう言っても、
彼女は身動き一つせず表情を変えない。

それどころか。



「なによそれ……っ。」

「?!」



蛇がポロポロと泣き出した。

あまりに絵になるその姿に、「綺麗だなぁ」とか。
いやそんなこと思ってる場合じゃねぇだろ。


「お、おい蛇、どうした?」

「ひどいわっ……神様って本当にひどい……っ」


やべぇ、よく分かんねぇけど
めちゃくちゃ傷つけちまってる。
こんなこと初めてだ。

どうしたら良いのかわからず、
ひたすら対応に困っていた、

そのとき。



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