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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第13章 同棲開始


「ここはもう先輩の家でもあるんだから、もっと別の挨拶があるでしょ?」



────えっと、つまり。

これは自宅に帰ってきたときと
同じ挨拶をしろってこと?

彼は私の答えを待つように、じっと私を見つめてる。


なんというか、
あの言葉をここで言うのは恥ずかしいんだけど……




「……た、ただいま?」




控えめに小さく答えると、
彼は満足そうにクスッと微笑んで優しく告げた。



「うん、おかえり。」



……だめだ、既に顔が赤くなりそう。耐えろ私。
そして白馬くんは早く服を着てくれ。
視界の暴力がすごい。

顔を赤くしないよう眉間にシワを寄せる。
すると、彼は踵を返して廊下を歩き、
右側の部屋のドアを開けた。


「ここ先輩の部屋。他に必要なものがあったら用意するから、遠慮なく言ってね。」


白馬くんの元へ行き部屋を覗くと、
そこにはクローゼットにテーブル、
小さめのソファといったシンプルな家具が揃っていた。


「さ、流石。充分すぎる。」
「そ?んじゃ荷物置いとくから、自由に使ってね。」


彼が荷物を床に置き、
私の頭をポンポンと撫でて部屋を出た。


さて。

私はバッグを開け、衣類を出していく。
これはクローゼットに仕舞って、それから……。


私はバッグの中から、ある二つのぬいぐるみを取り出す。


捨てるのも気が引けるから、
ほとんどのぬいぐるみは実家に送ったんだけど、
この二つだけは手元に残したの。


……タヌキと白い馬のぬいぐるみ。


いや乙女か。
自分でも思うよ、乙女か。

その二つを手に気恥ずかしくなっていると、
後ろから白馬くんの声が飛んできた。


「あれ、先輩ぬいぐるみそれだけ?」
「へっ?!」


ビックリして肩を跳ねさせながら後ろを振り向くと、
そこには黒のロングTシャツを着た白馬くんが。

なるほど、服を着てきたのか。
肘下までの腕まくりが非常にサマになってる。

白馬くんは私の元まで近づき、
私と目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。


「あんなにあったのに、よかったの?」

「……うん。なんか、もう必要ないなって思ったの。」


自分でもよく分からないけど、
不思議とぬいぐるみへの執着がなくなったんだよね。
前は異常なほどあったのに。

すると、白馬くんは少し目を見開き、
フッとすぐに表情を緩めた。

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