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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第3章 本物のヒーロー


「────あぁもしもし、フリーデンか…」
『うわァァァァ!!黒哉クンからかけてくるとか初めてデス嬉しいデス明日雪降るデス!!どしたんデスカ事件デスカ?!』

うるせぇ。めっちゃうるせぇ。

耳を劈く奇声にも似た大声に、咄嗟にスマホを耳から遠ざける。おかげで耳鳴りがうるさい。


「…フリ、頼むからもっと小声で喋って。ちゃんと聞こえてっから。」


低く宥めるように伝えると、『はい分かったデス。』と少しかしこまった声が返ってきた。

「よし。それじゃ質問。お前今日の夕方時間ある?」

聞くやいなや、電話越しにパラパラと紙をめくる音が聞こえ始める。

『えーっとデスね、夕方夕方…。あっ、9時就寝って書いてあるデス!』
「なるほど、暇なんだな。」

つか9時就寝とか健康体かよ。
ただのいい子ちゃんじゃねぇか。


『ふふっ、暇デス暇デス。それで?黒哉クン、また何か楽しいこと考えてマスネ?』


さぞ愉快そうな声のトーン。
話を聞く前からずいぶんと乗り気だ。
思わずクスッと笑いが漏れる。

「別に?ただ、お前の仕事の功績を上げながら俺の大切な人も同時に救える、おいしい話があるだけだよ。」
『…それはそれは。なんとも素敵なお話デスネ?』


きっと今二人してほくそ笑んでいるのだろう。
悪徳商人の密談のような雰囲気が漂っている。


『仲間はどうするデスカ?』
「いい。そこは俺一人で事足りるだろうし、お前は待機してくれるだけでいいから。」

手を上に伸ばして軽く伸びをする。
全盛期と比較するとだいぶ身体はなまってるけど、
まぁなんとかなんだろ。

『…ワカリマシタ、その話ノりましょう。友達として全力で協力するデスヨ。』

フリーデンがふふっと笑う。
コイツの性格はあまり得意なタイプではないものの、何だかんだ大切な友人だ。



「おう、ありがとな。」
 


そんな穏やかな心中でいたところ、突如コイツから爆弾を落とされた。


『ところで黒哉クン、その救える『大切な人』とは恋人のことデスカ?』
「はぁ?!ゲホケホッゴホ!!」

突然のぶっ飛んだ発言に思わず咳き込む。
あとなぜか耳が熱い。心なしか、顔も熱い。

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