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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第1章 名前は白馬。見た目は王子。



「…やっぱり。いくら先輩がドジでもこんなに傷がつくはずない。
おかしいと思ってたんすよ。真夏でも絶対肌は晒さないし。ね、これはどう説明するつもり?」




声が詰まる。

────ダメだ、逃げられない。





白馬くんと二人で飲むようになって分かったこと。

それは、バカなふりして洞察力が異常に優れているという点だ。
どんなにポーカーフェイスが得意な人でも、彼の前では白旗を上げざるを得ないくらい。


…どうしよう、そんな彼に対するうまい誤魔化し方が見つからない。嘘をついたとしてもきっとすぐ見破られる。

かといって、言ってしまえば確実に白馬くんは首を突っ込んでくるし。



必死に考えを巡らせても答えは出てこなくて、喉も震えてくる。

どうしよう、どうしたら────







「…ねぇ先輩、俺って頼りない?」







ハッとして顔を上げる。
そこには憂いを帯びた目で私を見つめる白馬くんがいた。

彼が頼りないわけじゃない。
頭の回転は早いし、素は意地悪で子供っぽいけど
やる時はやる人だ。


それに、厳しい先輩の皮を脱げる唯一の後輩。


だから巻き込みたくなかったのに
どうしてそんな寂しそうな顔するんだろう。
いつもみたいに茶化してよ。





…そんな顔されたら、心が揺らいでしまう。






「…っ白馬くん、あのね────」


彼になら打ち明けてもいいのかもしれない。
そう思い、顔を上げたとき。



「あれー?!白馬先輩?!」



後ろから高い声が飛んできた。


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