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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第6章 会社の同僚「蛇塚さん」


いつも通りの世界だ。

風に揺られる木々、楽しそうな雀の声。
そして、普段と全く変わらない社内。

変わり映えのないこの日常が心地良くて、私は好き。



────なんだけど。



「山下先輩、この書類よろしくお願いします。」


頭上から降ってくる澄んだ声。
やけに眩しい謎の光、謎の薔薇。

恐る恐る顔を上げれば、
そこには王子スマイルで書類を手渡す白馬くんがいた。


「了解しました。ありがとう。」
「いいえ。…あぁ、それと。」


そう言いながら彼は身体を屈ませ、
私の腰に手を添えながら耳元で囁いた。


「ここ、ご無理なさいませんよう。」
「〜〜〜ッ!」


あなたが夜、激しくするから痛いのに…!
(ただでさえ軽い腰痛持ち)

私が顔を真っ赤にして睨むも、当の本人は露知らず。
平然と席に戻っていく。

…白馬くんと恋人同士になってから、
私の心は忙しない。
いい意味で平和とは程遠い日常になった。
幸せなことだね。


とはいえ、前にはない嫌な緊張感もある。


それは、白馬くんとの関係を意地でも隠し通さなければならないこと。

だってさ、考えてもみて?
あんなにファンがいる彼に、
彼女がいると知れたらどうなると思う?
ましてやその彼女が私だと知れたら?

どう考えてもとんでもない事になるよね??
(主に私が)


だから社内では極力いつも通りでいたいんだけど、
彼がわざわざスリルのある行動を取ってくる。
心臓が色々大変だからやめて欲しい。

浮つく気持ちを落ち着かせようと一つため息を吐くと、
突然後ろから高い声が飛んできた。



「あら、ため息なんてついてどうなさいましたの?」
「ふぁあ?!」



思わず肩が跳ねる。
バッと後ろを振り返ると、
そこには同僚の蛇塚華(へびづか はな)さんが立っていた。

「どうぞ、コーヒー召し上がって?休憩をとるのも大事なことですわ。」
「う、うん、ありがとう。頂くね。」

差し出されたコーヒーカップを両手で受け取り、
そっと口に含む。
美味しい。落ち着く。

蛇塚さんは気が利く上にとても優しい。
お人形さんかなってくらい可愛くて上品だし。

…まぁそれはいいとして、実は彼女。



「はぁ…。今日も変わらず黒哉様は麗しいですわ…。」



…他部署からわざわざ彼を見に来るほどの、
熱烈な白馬ファンなんだよね。
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