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第7章 　危機からの脱出

　まったくの赤の他人同士の結婚のはずが、同じ父親を持つ兄妹だったのだ。

　本人たちは兄妹であることをまったく知らないうちに近親結婚してしまっていた。
　二人の結婚を知った両家の両親も多くは気づかなかったし、気づいたときにはすでに遅かった。
　
　中には事前に気づきながら、出生の秘密を明らかに出来ないまま手をこまねいていた親もいた。
　
　女性が複数の男性の子を宿す場合にはその子どもは数が限られていたが、男性が複数の女性に「種」をばらまいた場合には意外に多くの子孫を残しことが出来たのだ。
　
　まるで「種馬」や「種牛」の世界である。
　「種付け男」の中に劣性遺伝子を持った男が紛れこんだことが事態を複雑にした。

　アメリカでは、３０人に１人は病気をおこす遺伝子を持っていると言われ、白人には多くみられる病気だが、日本人では患者がとても少ない病気で、発生頻度は１万人に僅か５人。

　それが１０倍ほどに跳ね上がったのだ。
　これほどまでに遺伝病が蔓延していたとは驚くべきことであった。

　この遺伝病の頻発の背景に、隠れ婚外子の膨大な存在を明らかにしたのだ。

　この新聞の報道をきっかけに、ふたたび「精子狩り」「下半身離婚」「婚外子」問題に　国民の関心が集まり始めたのだ。