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お局の坪井さん
第2章 二


「何か、坪井さんに会いに来るらしいよ〜」


また突拍子もなく専務が話すと、麦茶を勢い良く吹き出す。


「ぶーっ!!!」

「うわ、どうしたの、坪井さん」

「すいません……」


そんな私を見ながら驚く専務に謝ると、鞄からいそいそとハンカチを取り出し、濡れたデスクを拭き、ズレた眼鏡を正す。


「でも何で坪井さんに会いに来るのかな?新商品の売行き良かったし、お祝いでも持ってくるとか?」

「そうですかね……」

「愛の告白だったりしてね〜。ハッハッハっ」

「っ………!」


この人、全部知ってるんじゃないの?!

そう言いたくなるのをぐっと堪えながら、デスクの上のノートパソコンを開き、心を落ち着かせながら電源を入れた。


大丈夫……。普通通りに、仕事をしよう。私は恋愛より、仕事が大事なんだから。たった一人の男に惑わされてはダメ―――


この数時間後、まさか大変な事になるとは思っていなかった。
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