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NAKED
第102章 鏡の間
○実は確かに逃げた。
だが、坂道の向こうまでは行っていない。

エントランスを越えて自動扉の向こう、硝子張りの向こう側に○実はいる。○雄はホンモノに触れることができない。

実像は常夜灯に照らされていた。

風に舞って吹き込んだ雨粒は、エントランスのガラス面を伝い流れる。雨水でその実像は歪む。

硝子張りのエントランスホールは、合わせ鏡の作用で○実の姿を複写して映し出す。
ある角度にはプリズムの効果で光は虹色に拡散され、また違う角度には屈折した虚像の形で現れる。

ガラスに転写されて再び映し出された○実の姿を○雄は見つめる。
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