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第16章 救急搬送

「お母様は脳梗塞です。詳しくは心原性脳塞栓症で、心臓に生じた血の塊が脳動脈を詰まらせて……一命は取り留めましたが……お気の毒ですが、血栓が詰まった部位からみて、失語と運動障害、嚥下も差し支える可能性が高いと思われます……詳しくは専門医の診察を受けてから、今後の治療を決めていくことになります……」

気がついたときには、救命センターの医師と対面していた。ドロドロした血流が肋骨の裏側に流れ込み、重圧が心臓を強張らせていた。○実の方こそ血栓が詰まりそうなほど、青ざめた顔色であった。

こめかみをいくら抱えても、へばりついた沈鬱は額から拭えなかった。