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第5章 不合格

　次の日、スタッフルームで患者を待つ俺は、さながら丸々と肉付きの良い草食動物を狙う、獰猛なライオンのような気分だった。

　いつもは次々と他のスタッフに指名客が入るのを、焦る気持ちでイライラしていたのだが今日は全然違う。
ただ平然と獲物が現れるのを静かに待つだけだ。

「小橋先生。３番ルームに新患者です」

　カルテを受け取り、じっくりチェックする。
三沢　恵　４０歳　体全身がだるい、と。よし。
さっそく昨日教わった武藤式ノウハウを試してみるチャンスが来たようだ。