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ぬるぬるマッサージどうでしょう
第2章 挫折
 俺はマッサージ師だ。
学校を出て普通の会社に就職したのだが、上司との折り合いや労働条件の悪さに我慢が出来ず、30歳を前に会社を辞め、マッサージ師を目指す事にした。
この仕事なら煩わしい人間関係もなく、実力しだいで金も稼げる。
なにより勤務時間が、ある程度自由で、自分のペースに合わせて働けるのが一番の魅力だった。
 会社勤めの時は、きっちり9時から5時プラス残業は毎日。この生活を定年まで続けるなんて俺には無理だった。
 
 夜間のマッサージ学校に3年間通って資格を取り、業界でも有名な老舗のマッサージ治療院に就職した。
そこは、とにかく客が引っ切り無しで、腕を磨くには良い所だったが、来る客、来る客、ゴリラのような体をしたオヤジか、棺桶に足どころか手や胴体まで突っ込んでそうなジジィやババァ。
夜になれば刺青ビッシリのヤクザ。しかも完全歩合制なので、スタッフ同士の客の奪い合いとやっかみが凄まじかった。
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