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抱けない彼を妄想で抱く
第4章 休日の昼下がり、後ろから
「あの人のこと好きになれたらいいのにな」
と言うと、彼は
「うん」
と短く返事をしました。

わたしはうつ伏せでベッドに寝転がります。
マクラを胸元に引き寄せました。
あれが好き、これが好きと、自分の意思で好きなものを決められたらよかった。
自分のことなのに決められないなんてあんまりです。
身体を横向きにして、膝を抱えて丸くなります。
わたしは自分の好きなものを数えてみることにしました。
浮かんでくるのは今はもうやっていない過去のものたちでした。

「ねえ、なにが好き?」
彼に問いかけます。
「貴女が好き」
と彼は返しました。
わたしはふうんと言って、脚を伸ばしてまたうつ伏せになります。
彼が近くによってきてわたしの背中を撫でました。

手のひらをべたりと背中につけてきます。
わたしは顔をテレビに向けました。
手は背中を撫でています。
うなじからおしりにかけて大きく撫でていました。
安心感から眠くなります。
「気持ちいい」
というと、今度は肩を撫でだしました。
肩から腕のラインをなでられます。
わたしはうつ伏せから横向きの姿勢にまた戻りました。
彼の手はわたしの前面にやってきます。
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