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揺れる世界の秘め事
第6章 夜が明けるまで
「はいはい、もう寝るよ。早く入ってきて」
「あ…うす…」
私は満足してベッドの奥の方にもぞもぞと入っていく。
有馬君も緊張した感じはあるけどベッドに入ってくる。
セミダブルのベッドなので2人入ってもまぁ問題なさそうだ。
「ねえ、麻美さん」
「…ん?」
ごろんと有馬君側に身体ごと向ける。
「どこまでならオッケーなんすか?」
薄暗いオレンジの間接照明だけにした部屋で、こちらを真剣に見つめる有馬君。
「へ…えー…何が?」
オッケーとは?
「……男はオオカミなんすよ」
「……」
……ああ…。
「さすがにそーいうのは困る…かな…私も眠いし」
そんなつもりは無い。
「じゃぁギリでどこまで?」
え…ええー…どこまでだろ…
そもそも今日おんぶとか…添い寝だってしてるわけだし…
キスはどうだろ…たぶん…
「…手とか…ハグ…なら…」
それくらいならイケル…うん。

ごにょごにょと小さく呟いた私に
少し嬉しそうな、切ない顔をした有馬君がそろりと手を絡ませ、
私の体を自分の方に引き寄せる。

「ひゃ…」
「まぁ…今はこんなモンで満足しますよ」

ちぇー、と悔しそうに頭上で笑う声がする。
突然でビックリしたけど…彼の少し速い鼓動が聞こえて気持ちが良い。

そっと、繋いだ手の反対を有馬君の背中に回す。

「……おやすみなさい」
「…おやすみ、麻美さん」

ちょっとだけ速い…ううん。
私と同じ速度の鼓動を聞きながら電気を消す。
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