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中西教授の独白「忘れ得ぬ女たち」
第5章 女房のこと

最後に蛇足かも知れませんが、女房のことをお話しましょう。

ちょっと、お茶を……ああ、旨い。ははは、昔のことを思い出し。私も恥ずかしくなりましたよ。

今までお話したようなことをしていましたが、勉強の方も怠けずに頑張っておりました。それで講師の時です。もう38歳でした。教授から「助教授になりたければ、身を固めろ」と忠告されまして、いいですか「忠告」ですよ。言い換えれば最後通牒です。

「この女性と見合いしなさい」

学問の世界は狭いですから、教授の言葉は絶対です。教授の支援者の娘で、婚期を逃した32歳の女性、薫です。彼女と翌週お見合いしました。

美人じゃないけど、心が落ち着ける女性だなあと思い、「是非、結婚させて下さい」と教授に返事をしました。

正解でした。いい女、いや、妻に巡り逢えました。

残り物に福がある

こんな私に福など残って無いと思っていましたが、へへ、処女だったんですよ。これ以上の幸せはありません。

「結婚する気がないなら、処女はダメよ」

最初に性の扉を開けてくれた正美さんがいつもそう言っていたことを思い出しました。

初夜の時、「あなた、あなた、痛いの、痛っ!」って私にしがみついてきたんですよ。もう可愛くて、可愛くて。
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