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アブノーマルごっこ
第7章 おじいちゃんと真珠
「中原さん、お洋服汚れちゃったから
 お着替えしましょうね」

「あ…あぁ…」

車イスのおじいちゃんに話しかけると、弱々しい声で返事をしてくれた。
子供が小学校にあがったのを機に、この施設で介護のパートを始めたのが2年前。始めはいちいちビクビクしてたけど、もうだいぶ慣れたものだ。

私が担当するのは夜から朝にかけての、いわゆる夜勤。夕飯が終わった頃に出勤して、朝食を食べさせて帰る。夜のラウンドもあるけど、急変なんかは経験したことがない。のんびりしたものだ。
昼の勤務の人はレクをしたり、洗濯を干したり大変そうだ。

就寝時間を過ぎてからは、私一人になる。
すぐ近くの病院に担当の看護師がつめてる。まぁ、ほとんどこっちにはこないし、むしろその方が気楽ではある。


先ほどの中原さんは、ここへ来てまだ1ヶ月くらい。昔は漁師をしてたっていう柔和な笑顔のおじいちゃんだけど、昔はやんちゃだったって噂。その名残なのか、あそこに真珠が埋め込まれてるっていうのは、この施設の誰でも知ってる話。この間オムツ替えのときに見た限りでは、3、4粒は入ってそうな感じ。

旦那とはもう完全にレス状態な私は、余計に興味津々になってしまう。
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