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~菊タブー~ お妃候補はドレサージュに陶酔し…
第6章 新たな罠、…黒幕は意外なところに
あの妖しげな監禁劇から一週間が経過しても、郁子の肉体の火照りはやまなかった。凌辱されたという屈辱や恐怖よりも、ヒト科のメスとしての本性を剥き出しにさせられたことへの得も言われぬ快感が勝り、激務の中でもショーツがびしょ濡れになることもしばしばである。そんな折、再びあのお方との逢瀬を要請してきたのが国連職員の常盤弥太郎である。郁子の父、小越典泰の親友でもあり、彼女自身も『常盤のおじちゃま』と慕った関係で、断ることは憚られた。

―――宮内庁が領有する千葉県鴨場にて。
(このお方とお会いすることはもうないだろう)
郁子は、傍らに立つ自分より少々背の低い、それでいてこの国で最も権威ある男性を横目に決意を固めたところだった。
「わたくしと結婚していただけませんか?」
「申し訳ありません。まことに光栄に存じますが、身に余りすぎるお申し出と思います。私は外交官の職に誇りとやりがいを持っております。…はっきりとこの場でお辞退申し上げます」
遠慮がちな口調ではあるが、郁子らしい芯の強さを感じさせる、確固たる意志を感じさせる言葉だった。徳宮殿下は明らかに狼狽され、現人神に相応しくない未練を湛えた表情をお見せになられ、、憐憫な言葉を口にされた。
「外交官として国に尽くすことも、皇室に入って平和外交に尽くされることも、同じではありませんか!?」
「…どうか、ご理解くださいませ、殿下」
惚れ惚れするような極上の笑みに、優しさを込めたもの悲しげな表情を浮かべたのが、せめてもの殿下への気遣いだった。


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