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第8章 新たなる人物…

『下僕とか本当にっ…３年だし受験対策も始めないと…』
下僕とか春樹にかまっている暇はないのだとあえて受験の事を話す綾香。

『受験対策？モテそうもないあんたと遊んでやろうと思って声かけたのに逃げる気？』

『気づかいはいりません、だからもうっ』
だからもう宮川兄弟はうんざり、という言葉を彼女は言えないでいた。

『？…あっ彼氏いる？ふ〜ん…でも高校卒業したらジ・エンド、所詮遊び１人だろうが２人だろうが一緒っ』

『？？？…なんでそういう結論に…』

２人は先程の体勢に変動はなく耳元に春樹の話す息がかかるため綾香は動けないでいた、ハグをされているのもそのひとつだ。

『とにかく暇つぶしにつき合ってやろうとしてんだから、ありがたく思いな』

『…いいえ、ありがたくなんか思いませんから』

綾香はこの状況から逃げたいともがいてもだめなら相手の腹部辺りへと肘を後ろに動かすと、不意打ちが成功したのか絡められていた腕がはずれ彼女は自由になり校舎へと駆け出した。

『ムカツクッ、この僕に逆らおうと思うのかっ』
さすが夏樹の弟だけあって口調が似ている。

柱や建物に隠れ身を潜めながら春樹から逃げ綾香が教室に戻ったのは６時間目が始まる前になる。

教科書を開きながら彼女の心拍数があがり震えているのは先程の事を思い出すと特にそうだ。

気をつけなきゃ…
宮川先輩の弟なら気をつけなきゃ…


放課後、部活に向かう綾香。
不意に春樹とすれ違い彼女は部室へと走り出した。

春樹は振り向き入っていく部室を確認し彼女をつけていく。　
まだ部活を決める期間である新入生、春樹はアハハと笑い部室のドアを開けた。

『僕入部してもいいですか？』
春樹がいい何も知らない部員らはうなずき綾香だけが首を振った。

『美術部って部員少ないから大歓迎、主に自由にデッサンだけどそれでもいいなら』
部長が作り物の果物の盛り合わせを指差す。

『デッサン……』
春樹は実は美術なんて面白くないという風に目をそらし口をヘの字にする。

『…腹でも痛い？』

『……いえ、デッサンって人物もありですか？』

『石膏の上半身、ほらあそこにおいてある物を模写するんだ』

『……石膏を模写……かったりぃ…』

『…えっ？入部って冷やかし？今から部活だから冷やかしなら出ていって』

部長と春樹の会話あきらかに春樹は冷やかしだ。