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戦場に響く鈴の音
第3章 羽織



美しい鈴の顔が月明かりに照らされる。

この世の者と思えない美しさ…。

俺も直愛の様に息を呑む。

この子は一体…。

何処から来たのか?

そう考えた瞬間には鈴が頬を膨らし、いつもの鈴に戻る。


「酒…、注いでくれるか?」


鈴にそう言えば鈴が俺の盃に酒を注ぐ。


「直愛にも…。」


俺の命に鈴が戸惑う表情を見せる。


「私の分は自分で…。」


気を遣う直愛が鈴から酒壺を貰おうとすれば鈴は


「鈴がやる。」


と歯を食い縛る。

直愛の気持ちは少しづつ鈴に伝わってる。

そのまま直愛と呑みながら今日の謁見の話をする。


「期待はしてませんでしたが、あれはやはり辛いです。」


それが直愛の本音だ。

手柄を上げ損ねたから期待はしてなかった。

だけど主役を秀幸に取られた宴に出席させられば俺同様に直愛も針の筵に感じた。

ましてや、直愛は父親が同席してる。

誰もが秀幸を褒め称える中で直愛の存在は無視される。


「御館様は奥州に日を改めて褒美を出すと言ってくれた。」


直愛の慰めになるだろうと御館様の気持ちを伝えてやる。

話に退屈する鈴が船を漕ぐ。


「随分、遅くなったな。」

「神路殿は底無しです。」


酒が回った直愛も赤い顔で俺を見る。


「10を過ぎた頃から御館様に散々飲まされたからな。」


酔っ払う俺を面白がっては御館様は俺に飲ます。

お陰で蟒蛇(うわばみ)と呼ばれるほどまで強くなった。

これ以上は直愛も辛いだけだろうと盃を置き、鈴を抱えて俺の寝所に帰る事にする。

俺の寝所の隣の部屋にある鈴の床に鈴を入れる。

寝てる時は無邪気なままの鈴…。

今はただ、この寝顔を守りたいと思うだけだった。


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