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泥だらけのお姫様
第7章 それはまるで儚いシャボン玉
 
          ***


 朝、美味しそうな匂いで目を覚ました。リビングに行くと、テーブルには目玉焼き食パンと温かいカフェオレとサラダが二人分並べられていた。

「美愛、おはよう。一緒に食べよう」

「ん? うん? ありがとう?」

「昨日は……あんまり覚えてないんだけど、その……ごめん」

 優祐は頭をかきながら謝る。

「何それ? 気持ち悪い。いいよ」

「美愛、愛してる── 」

 昨夜はあんなことを考えたけれど、優祐をとられるのはやはり許せない。あぁ、なんて私は身勝手な女なんだろう。初めて言われた愛してるの言葉に浮かれて、もしかしたらやり直せるかもしれない。そんなことを考えて。そういえば旦那エンドで終わった不倫小説のその後はどうなったのだろうか? ふと、そんなことを考えてはみたものの、答えは分からないので考えることを放棄した。

「どうしたのさ?」

「ううん、ごめん、いつもありがとう、支えてくれて」

「本当……どうしたの?」

「なんでもない」

 これは幸せの始まりなのか夢なのか……、なんでもいい。私の脳内は単純で、何度も裏切られているのに、もう一度、優祐を信じよう。そう思った。


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