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泥だらけのお姫様
第11章 【番外編2】最悪の再会の果て~自分であるために~
「そんなことないよ。母さん、泣かないで。将さん……でしたっけ? あなたこそおかしいですよ。生涯、その人を愛するって結婚したんじゃないですか? お子さんがお父さんが不倫してお母さんを傷つけたって知ったらどう思うんでしょうね? 俺は父の行為にすごく傷つきましたよ。幼い頃。けど、怖くて誰にも言えなかった。家族が大切だから。俺が邪魔したんだ。俺のせいだ。俺なんていなければって思ったこともあります。

美愛ちゃんって言うのは、母さんがそうしたら落ち着くからです。息子が母親を大切に思うのは当然です。それに、母さんのことあなた、本当に知ってますか? 母さんは、早くに母親……俺のおばあちゃんね、を自殺で亡くして、不安になりながらも、俺の父さんと結婚して、母さんが大好きだった父親…俺のじいちゃんね、も俺が中学の時に末期癌で亡くなって……。あなたにその苦労が分かりますか? 

だから、家族を大切にするのは当たり前です。いつどうなっても後悔しないように。いや、中学受験で遠くに行ったことを後悔したからこそ、今はそう思うんだ。それをおかしいなんて、誰にも言われたくない。それが友達でも嫌なのに他人だったらもっと……」

 優希は一気にしゃべる。頭がクラクラして、半分も耳に入ってこないが、受験しただけはあって、頭のいいことを言っているのだけは分かる。

「そうですか。俺が知らないこともまだあったんですね。すみません、確かに息子さんのおっしゃる通りですね。自分の家族ともう少しちゃんと向き合っていこうと思います」

 私達は人の邪魔にならないように隅っこに行っていて、

「じゃ、行こうか」

 結局、自分で歩くことは出来なかったので、優希の背中へと乗った。
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