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泥だらけのお姫様
第11章 【番外編2】最悪の再会の果て~自分であるために~

「美愛ちゃん! もお~~。いいよ、いいよ。美愛ちゃんは、俺がいないと生きていけないもんねー」

 そう言って、優希はお姫様だっこで私を風呂場へと連れていく。私のオムツを脱がす。

「いいにおい」

「絶対、うそだー!」

「ホントホント」

 オムツのにおいを嗅いだかと思うと、私の濡れた毛を舐める。そのまま奥へと舌を滑り込ませる。

「んんっ……あっ……」

 浴槽に腰かけて、足が震える。

「美愛ちゃんのことこんな風にできるの俺だけだから。美愛ちゃんは誰にも渡さない」

「私だって、優希は誰にも渡さない」

 今後、働かなくてもいいなんて最高じゃないか。未来永劫、大好きな人に養ってもらえるなんて、幸せじゃないか。

 将さんとの最悪の再会の果て──。

 体も以前よりおかしくなってしまったけれど、きっとそれは私が今まで頑張って生きてきた証。代償。

 他人の意見なんてどうでもいい。けれど、引き離されないための努力はこれからも私達はしていくのだろう。

 自分であるために。自分として生きるために。

 人に迷惑をかけてはいけません。その迷惑にも種類があると思う。優希と私が一緒にいること。支え合って生きていくこと。それは私達の自由。けれど、理解されないことだと分かっているから、マナーとして、親子を演じる。

 自分達が幸せであるために──。

 世の中には色々な思想があると思う。

 だけど今の私なら相談されたなら、こう語るだろう。

 犯罪と人を巻き込む自殺以外なら、生き方は、その人の自由だと……。


fin.
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