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狼に囚われた姫君の閨房録
第42章 新選組、解散
目を覚ました時、私は寝台の上にいた。心地よい風が窓辺の薄い布(カーテン)を揺らす。
「気がつかれましたか?」
誰かが私の顔を覗き込む。逆光だが、声で主計とわかった。
主計は私の額に手を当てた。
「熱は下がりましたね」
「……あ……」
兄上さまは?と聞こうとしたが、喉に言葉が絡んだ。
「お嬢さんは弾丸の毒で熱を出されたのです。弾はぜんぶ摘出しましたから」
主計は私の手を取った。
「今後も、お嬢さんはこの俺が守ります」
問いたいことがわかっていて、主計ははぐらかした。
そうか、歳三は亡くなったのか……
「……戦は?」
「負けました……」
そうだと思った。
「大鳥総督や榎本総裁は新政府軍の管理下に置かれています。俺はお嬢さんの看護をするので診療所に」
「新選組の……隊士は?」
「総督らと謹慎中です。そのことで、相談が……」
主計は机の引き出しから、一枚の紙を出した。全面降伏の宣誓書であった。
「新選組として署名するんですが、局長は斬首、副長も今は亡く……」
「局長代理として、署名したいってことですね」
「許してくださいますか?」
「許すも何も、代表者は主計くんしかいませんから」
私は深呼吸した。
これを話すのは覚悟がいる。だが、私が決断せねばならないことだ。
「ものはついでに頼まれて欲しいのですが……」
「なんなりと」
「本日をもって、新選組は解散とします」
「お嬢さん!」
「長い間ご苦労でした。生き残った者は、それぞれ自分の人生を自由に歩んでください、と隊士たちに伝えてください」
きっぱりした私の言葉に、主計は無言で頭を下げた。
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