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幼稚園から始まって高校生になったなら。
第23章 恋煩い
「はあぁぁ・・・」

 自分の部屋の片隅で蹲りながら柚希は自分でも何度目になるか解らない溜息を付く。

 透が合宿に行ってしまってから今日でちょうど一週間になる。

 この間、柚希は傍目には充実した夏休みを送っているように見えた、宿題を済ませ、スイミングスクールに通い詰め、家族と出掛けたり友人達と遊びに行ったり。

 どれも楽しい事は楽しかった、だけど。

「透、何しているのかな・・・」

 どんな時でも考えてしまうのは離れている彼氏の事ばかりだ、透だったらこんなときこう言うだろうな、とか、こんな事をするんだろうな、とか。

 何処に行っても何をしていてもついついそんな事を考えてしまうのだ。

「あと、三日かぁ・・・」

(会いたいよ。長すぎるよ、透うぅぅぅ・・・❤❤❤)

 お転婆だった少女が恋をするとこういう風に変わるという、その代表例が柚希だった、みんなの前ではいざ知らず普段の活発さは何処へやら、恋煩いに苦しんでいた。

 透がいれば、毎日が輝いて見えた、彼と過ごす本当に何気ない一コマ一コマがキラキラとした宝物だ。

 一緒の時は言えないことだってたくさんあったが自分は本当はこんなにも透の事が好きだったのだと改めて理解する。

「あと、三日かぁ・・・」

(はあぁぁ~・・・)

 同じ言葉を繰り返してはまた溜息を付いてしまった。

 今夜は到底、眠れそうにない。
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