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スカーレット オーク
第20章 20 ペンションの夜
緋紗を後ろからギュッと抱きしめてしばらく経ってから直樹は身体を離し、固まってじっとしている緋紗を抱いてベッドに寝かせ、身体を拭きベッドに腰かけて頬を愛しげに撫でる。
撫でるその手をそっと触って緋紗は目をつぶる。
直樹の手がパジャマに伸びてきた。――ボタン留めてくれるのかな。

 しかし直樹の手は緋紗の乳房を優しく撫でまわす。
ベッドに胡坐をかく直樹に緋紗は抱きかかえられて後ろからまた両乳房を愛撫され始めた。

「あ、あの」

 少し躊躇って振り返ると直樹は優しいが冷静な目をしている。

「ひさはつまらなかったでしょ?」

 そんなことはないと言いかけたがもう直樹は聞かずに身体を弄っていた。
女が感じようが感じまいが男が『イク』とセックスは終わるものだと緋紗は思っていたし、友人となんとなく話をしても緋紗と似たような感想だった。
それで特に不満に思ったこともないし、『イク』ことに執着もしていない。
しかも今のセックスは直樹の達する様子を感じることができ、緋紗にとっては精神的な満足感があった。

ちらっと直樹をみると暗がりでメガネのレンズだけが反射で青く光り、機械的で冷たく感じる。
下腹部をまさぐられ声を漏らしてしまった。
直樹が事務的に、「声」と、注意する。
その声でさらに被虐的な気持ちになり感じてきてしまう。
声を出さまいと我慢しながら感じていると泣きそうになってきた。
指先の回転をあげられ、もう緋紗は達する寸前だった。
短い連続した息を漏らしていると、「もういくの?かわいいね」と、手を止めて直樹は言う。――意地悪をしないでほしい。
 哀願するような眼差しを向けると、しょうがないなあという表情で再度微振動を与えられ快感は頂点に達する。

「んんっ、くぅっ」

直樹は腕の中で唇を噛み、小刻みに身体を震わせている緋紗を抱きしめて、今度こそボタンを留めた。
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