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スカーレット オーク
第24章 24 轆轤(ロクロ)
 緋紗が粘土を片付けて作業台を拭き終わると小夜子がお昼に呼びに来た。

「ご飯にしましょうよー」

 小夜子がいると場所が華やいで明るくなるような気がする。

「はい」

 手を洗って食堂へ向かった。
 直樹はまだ来ていなかった。

「伸びちゃうから早く食べてね」

 小夜子はパスタの皿を二つテーブルに置いて座るように促した。

「教えるの上手だったみたいねえ。お客様、喜んでらしたわよ」
「ああ、よかった。ありがとうございます。前に陶芸教室でバイトしてたことがあったので」
「そうなのー。いいじゃない。またあったら是非お願いしたいわ」

 小夜子が嬉しそうに言ってくれるので緋紗は少し照れた。
直樹がやってきて厨房へ入り、二つパスタ皿を持って緋紗たちの隣の席に座り、和夫も後に続く。

「ひさちゃん、おつかれさま。さっきの教室とてもウケがよかったよ。ロクロもうまくてびっくりしたなあ。今度うちのパスタ皿作ってくれないかな」

 そういわれてみると食器は磁器のものが多い。

「そうそう和夫さんは大きいもの出来ないのよね。このくらいのパスタ皿ほしいわ。手作りの」

 小夜子も両手を皿の大きさに広げて言った。

「ひさに弟子入りしたらどうです?」
「こいつー。実は俺もそう思う。わははっ」

 生意気そうに言う直樹に和夫が大笑いした。、

「あの、私。お皿作って帰ります」
「ほんとか。そりゃいいな。マジ頼むよ。二十センチくらいでちょっと深めかなあー」

 和夫が具体的なことを言い出した。緋紗は少し考えて提案を一つしてみた。

「粉引きの一部分を月形に抜けば、ペンションの名前と感じがあっていいと思うんですけど」
「あら素敵じゃない。そうしてよ」

小夜子が高い声で言う。

「釉薬にも知識があるの?すごいねえ」
「少しですけど」

控えめに言いパスタを素早く平らげた。
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