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スカーレット オーク
第30章 30 演奏
 午後から緋紗はショップの整頓をした。
賞味期限や値札を確認して在庫チェックをする。
ほこりを払い商品をきれいに並べながら一つ一つ、このあたりの産物を見ていると小さな箱に入った小瓶を見つけた。――エッセンシャルオイルかな。
 三種類ほどあり全部木の香りのようだ。――スギ・ヒノキ・マツか。

「お試しがあるよ。嗅いでみたら?」

 直樹が後ろに立っていた。

「あ、ほんと」

 緋紗はコットンにしみ込ませた香りをかいだ。

「どれもいいですね。マツはなんとなく身近に感じますけど」
「僕はスギかな。仕事場はスギに囲まれてることが多いから」
「木って一括りに考えちゃいますけど全然違うんでしょうね」
「うん。香りもそうだけど、色も固さも用途も全然違ったりするからね」

 緋紗は直樹のする話が楽しくて聞き入った。

「同じ木なんてないんだよね。」

 直樹はやぱり木が好きなのだろう。
スギのオイルを嗅いでリラックスしているように見える。――直樹さんの職場の香りか。帰りに買って帰ろう。
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