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スカーレット オーク
第37章 37 メイクアップ
温泉からでて直樹は今夜のディナーの用意を始める。
と言っても今日は調理はせず、今、注文しておいた寿司を取りに和夫が町まで行っているので、グラスやら小皿やらを出すくらいだ。――なんか酒があったかな。

 探るとワインと日本酒がある。
それぞれ小夜子と和夫のだ。――これでいいか。
 ここにいる間アルコールを口にするのは今日くらいだ。
去年は仕事が終われば飲んでいたが、緋紗がいたのですっかり飲まずにすんでいて健康的だったと少し笑いながら今日までの事を思い返した。

ワインクーラーに氷を入れ、食器を適当に並べていると小夜子がやってきて「直君、今日もタキシード着てきてね。パーティなんだから」 と、言う。

「えー。別にラフな格好でよくないですか?」
「やーね。緋紗ちゃんだって綺麗にしてくるんだからね」

 ふふんと小夜子は鼻を鳴らした。

「緋紗こそ何も持ってないと思いますけどね」
「ドレスあげたのよ。きっと素敵だと思うわよ」
「へー」

 笑って直樹は続けた。

「小夜子さんみたいにばっちりじゃないからなあ」

 そう言われてみると小夜子もそんな気がする。

「まあとにかくタキシード着てきてね。和夫だってドレスアップするんだから」

 それだけ言うとバタバタと小夜子は去って行った。――言うこと聞かないとうるさいからな。
 しょうがなく着替えに部屋に戻った。
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