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スカーレット オーク
第52章 52 再会
 梅雨が終わり初夏がやってきて緋紗は二十八回目の誕生日を迎えたが、ここ数年誰にも祝ってもらうことがなかったので気が付いたら過ぎていた。
それでも一年で一番好きな季節だ。

四月に直樹と別れてから一度も会っておらず電話もしなかった。
ネットゲームで『ミスト』を見かけたが話すことはできなかった。
一応毎週土曜日はログインしていて、今夜も色々片付けてネットゲームに接続することにした。

スカーレット:こん
大河:こん
ピエロちゃん:こんこん

 いつものメンバーと毎週恒例の戦争にでかける。
フィールドを端から端まで駆け巡ったが『ミスト』はいなかった。

大河:今週はボロ勝ちだなw
ピエロちゃん:侵略しようよ
タコヤキ乙:よーし轢き殺すぜw
大河:カヅで行くぞカヅでw
スカーレット:私はここで帰るよ
大河:なんだレッド行かないのかよ
スカーレット:疲れたおね
ピエロちゃん:早くしないと祝福もらいそこねるお
タコヤキ乙:じゃいこ
スカーレト:おつー
大河:おつおつ

 スカーレットは港町に行って武器や防具を修理しているとぼわっと光り後ろに『ミスト』が立っていた。

ミスト:hi
スカーレット:こん
ミスト:久しぶり。元気だった?
スカーレット:はい
ミスト:ペンションがちょっと落ち着いたんだ
スカーレット:そうですか。よかった
ミスト:夏休みある?
スカーレット:お盆に五日あります
ミスト:こっちこない?
スカーレット:いいんですか?
ミスト:会いたい
スカーレット:私もです
ミスト:休み決まったら教えて
スカーレット:わかりました
ミスト:じゃまた
スカーレット:またですノ

 ミストは要件を言うと落ちていき、他にすることもないのでスカーレットも落ちた。

 緋紗は直樹とまた会える目途がついてホッとする。
いつ終わってもおかしくない関係だと思うと毎日辛かった。
かといって電話をかけて何を話せばいいのかわからなかったし、今は口を開けば『好き』だと告げてしまいそうだった。

 肉体の欲望が二人を一番強く結びつけていると思う緋紗には、身体の関係も持たずに帰ってしまった直樹にもう自分を欲してくれないかもしれないと思うことも少なからずあった。――今度はどこで会えるんだろう。
場所も何も聞くことができなかったが、とにかく会えることに緋紗は喜びをかみしめた。
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