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スカーレット オーク
第53章 53 静岡へ再び
 一つ低い段があってウエッジサンダルを脱ぎあがった。
小さなフロアは畳と板と襖で構成されていて、真夏だというのにひんやりしている。

「涼しいですね」
「うん。冬は寒いからあんまりこないけどね」

 障子をあけて短い廊下を渡り次の部屋に行った。
四畳半と六畳の畳の部屋が襖一枚で仕切られているが部屋という区切りがあまり感じられない。

「ここは書斎かな」

 パソコンデスクと本棚があった。
本棚にはぎっしりと林業関係の本と建築関係の本が並んでいて、多少の雑誌と漫画がある。
「いい部屋ですね」

 にっこりして直樹は次の部屋を案内する。

「こっちが寝室だよ」

 六畳のスペースにはセミダブルくらいの木製のベッドが一つあり、硬そうなマットにシーツとガーゼのような薄掛けが置いてある。
小さな窓に薄いベージュのカーテンがつけられていて昼間だがぼんやりとしたほの暗い部屋だ。

「さすがに寒くないと思うけど、もっと寝具出そうか?」
「あの」
「ん?」
「別々に寝るんですか?」
「一緒でいい?」
「じゃ。このままで大丈夫だと思います」

 緋紗がベッドに腰かけて柔らかいガーゼ生地を撫でていると直樹が隣に座りキスをしながらベッドに押し倒す。

緋紗の眼鏡をとって上の宮棚に置きまたキスを続けた。

「抱いていい?」

緋紗はこくりと頷く。
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