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第55章 ５５　緋襷（ひだすき）

「え……」
「満足しなかった？」
「いえ。あの」

　典型的なプレイのような会話なのに緋紗は本気でこのまま終わると思っているようだ。――くそ。かわいいな。

「さっき言ったでしょ。して欲しいことは言ってって」

　緋紗は切なそうに身体をくねらせて小さな声で懸命に言う。

「あの。抱いてください」

　直樹は返事もせずにいきなり挿入した。

「やあん」

　突然の挿入に緋紗は軽い悲鳴に似た声を上げる。

「こう？」

また直樹は意地悪く言うと緋紗は泣きべそをかきながら、「はい」と、こたえる。
泣きながら感じてる様子に直樹はすっかり興奮してしまった。――こういうのってよくないかな。

なんとなく後ろめたさを感じたが、緋紗がどんどん恍惚としていき気持ちよさそうにしているのを見ると満更でもない気がしてくる。
乳首を吸ってあま噛みすると緋紗は感じるらしく締め付けてきた。――これじゃ。もたないよ。
少し動きを止めて再度緋紗の花芯を指でいじると緋紗は身体をビクビクさせて「もうそこはだめです」　と、言う。

刺激が強すぎるのだろうか。
辛そうなのでそこを攻めるのはやめた。
もうドロドロになったような緋紗には喘ぐしかできないようだ。
直樹は他の作業をやめて腰を動かすだけにする。

「ああぅん。あぁん」

　甘ったるく長い声を出してくるのを聞いて直樹は動きを速める。――かわいい声出して……。

「ああっ。もう出るよ」

　起立したものを引き抜いて腹の上に射精する。

「あ、はぁ……」

　緋紗は腹の上の白っぽい液を見てため息を漏らす。
　直樹は少し肩で息をして処理をし緋紗の腹の上の精液をふき取りゴロンと横になった。
トロンとした目でこっちを見ている緋紗に直樹は軽くキスをした。

「もう寝られる？」

　緋紗は頷いてそのまま眠りに落ちる。
　直樹もそれを見てから背伸びをし緋紗を抱きしめて一緒に眠った。