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スカーレット オーク
第64章 64 門出
「そこを足掛かりにしてみたら」

 谷口が慎重な態度で言った。

「だめならまた考えりゃええ」
「このままにしてしまったらだめよ」
「もう一回頑張ってみようかな」

 緋紗は少し前に向けそうな気持ちが湧いてきた。

「一回と言わず何べんでも頑張ったらええよ」

 鈴木も応援してくれた。

「いつでもここに帰ってくりゃええから、やってみられ」
 
みんなから背中を押されて緋紗はまた嬉しくて涙をこぼした。

「明日にでもペンションに連絡してみます。でも大友さんには内緒にするつもりです。とりあえず自分でやってみようと思います」

 緋紗の意志を尊重してそれ以上とやかくは言わなかった。
ただ「乾杯!」 と、これからの門出を祝ってくれたのだった。
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