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スカーレット オーク
第69章 69 距離
「そうか。緋紗ちゃんって変わった子だな。欲がないのはやっぱ伯母さんが震災で大変な目にあったからかね」
「え。そうなんですか?」
「ああ。知らないのか。なんでも伯母さんは阪神淡路の震災で夫を亡くしてから、十年一人で過ごして亡くなったそうだよ。子供もいなかったから緋紗ちゃんをよく可愛がってたようでいつも人生の大事なものついて話してたらしい。そういう人の話を聞いて育ったんだ。普通の女の子とやっぱり違うだろうな」

 和夫の話をじっと聞きながら、直樹は緋紗の純粋な率直さと欲のなさを思い出す。

「緋紗は若いけど大事なものを知ってますからね」
「うん」
「で、どうするんだ。今年の冬は来るか?今、緋紗ちゃんがいてくれてるから人手が足りてることは足りてるがな」
「しばらく来ませんよ。緋紗にも内緒にしておいてください。俺もすこし計画があるので。緋紗はどうですか?」
「元気だし陶芸教室も軌道に乗りそうだよ。とにかくよく頑張ってる。薪まで割ってくれてさ」

 直樹は緋紗のすんなりした背中を目に浮かべた。

「あんな子滅多にいないよな」
「小夜子さん以外にでしょ」

 直樹に言われて和夫は照れながら、
「まあそうだな」
 と、顔を綻ばせた。

「夏までにまた来ます。それまで緋紗をよろしくお願いします」
「おう。まかせとけ。お前も頑張れよ」

 和夫は軽く会釈をして去る少し雰囲気の変わった直樹を見て(ちゃんと迎えに来いよ)と心の中でつぶやいた。
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