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スカーレット オーク
第9章 9 約束の日
 明日は大友との約束の日だ。
緋紗にとってここ一ヶ月、短いような長いようなよくわからない期間だった。
あの一緒に過ごした時間をはっきりと強烈に思い出す時と、夢のようにぼんやりと感じるときが交互にある。

会う約束を交わしたが会えるのだろうか、まだ会う気があるのだろうか。
――自分でもよくわからない。
会ってまた一緒に過ごせても、あの一夜よりも熱くなれることがあるのだろうか、あの刺激的な時間が再び持てるのだろうか。
緋紗の中で期待と不安と興奮が混じり合っていた。――早く上がれますように。

 普通に終われば待ち合わせの七時に余裕で間に合うが、明日から窯出しの案内をしているので客足次第だった。
ここの所の仕事は窯出しと作品の仕上げだったので、大友のことをぼんやり考えていてもなんとかこなせたが、もうそんな仕事の仕方はよくない。
帆布のトートバッグにグレーのハイネックのカットソーと黒のミモレ丈のフレアスカートを突っ込んで明日はすぐに家を飛び出せるようにしておく。ファッションにあまり関心がない上に仕事柄、粘土と灰にまみれている緋紗は無彩色の服が多い。
――下着は新しいのにしよう。
興奮するが悩むことのない緋紗はすぐに寝息を立てた。
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