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スカーレット オーク
第10章 10 ラブホテル
「ごちそうさまでした。あの、いつもすみません。こんなにごちそうしてもらうと申し訳ないです」
「気にしなくていいよ。僕が誘ってるんだからね」

 ここで頑なになるものどうかなと思い緋紗はゆだねた。
階段を降りるとき大友が手を差し出す。
せっかくなのでこれも応じた。

少し歩いてから、「今日は泊まるところを決めていないんだ」大友の顔を見ると何の変哲もなく、「ラブホテルに行ってみようか」と、軽く言うので、「はい」と、返事をした。
答えてから肉体関係が目的なら当たり前だろうラブホテルという選択に緋紗は軽く動揺し、ぼんやりしているとすでに大友はタクシーを止めている。

「乗って」

 促されて乗り込む。
大友は運転手に、「この辺で良さそうなラブホテルにお願いします」と、行き先を告げた。
「地味め?派手な感じ?」

 カジュアルに聞いてくる運転手に「うーん。地味なほうで」と、普通に答える。
「あいよー」

 緋紗は、落ち着いて普通のホテルにでも行くように会話する大友にドギマギする。
そもそも緋紗のほうが欲望を押し付けたような形なのに大友の慣れた態度が気になってしまうのだった。
運転手がミラーでちらっと緋紗を見た。
暗がりで下を向いている緋紗はなんだか色々と考えさせられてしまう。
前に彼女はいないようなことを言っていたが、あちこちに自分のような存在があるのかもしれないとか。
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