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旧公爵令嬢 漆原ノア〜恥辱の3日間
第1章 プロローグ
「御父様、御母様……どうぞお気をつけて……」
「お前も身体に気をつけて過ごすんだぞ。私たちは、3日後にここに戻って来るから……では木崎、後は頼んだぞ」

旧公爵家にあたる漆原家の別荘では、現当主の源太とその妻セレナがひとり娘のノアに見送られていた。

今日、ふたりは、漆原家が所有している別荘地に関する相談をある大企業とするために出掛ける。
そして、その相談は漆原家の未来を決める大切なものだった。

***************

旧公爵家である漆原家の家系は、500年続く由緒ある家系で、その時代、その時代でさまざまな困難がありながも、絶えることなく存続してきた。

しかし、源太が当主になる頃には、時代は大きく変わっていた。同じような旧公爵家は源太が当主になる頃には軒並、土地を手離し没落していった。

そしてその波は、漆原家にも及びつつあった。
当主の源太は、苦肉の策としてI T企業の社長、孫野健一に融資を頼んだ。

孫野健一は、その融資を快く引き受けた。
しかしそれには条件が……。

その条件とは源太のひとり娘、ノアを自分と結婚させるということと、漆原家が所有している別荘地を自分に売却するという条件だった。

源太は焦っていた。
この融資を断られてしまえば、後はないという気持ちだった。
それに孫野健一は今勢いのあるI T 会社の社長であり、人柄も誠実そうだった。

そして、孫野健一は融資をしてくれてなおかつ、現在の別荘地は、そのままにしてくれると約束してくれた。
こんな好条件は、もう二度とない。

源太はそう思い込み、その条件を承諾してしまった。
家に帰った源太は、娘のノアにそのことを説明した。
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