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独占欲に捕らわれて*Regret
第3章 真相探求
夕方6時過ぎ、紅玲はようやく家へ向かう。
「疲れた……。けど、もうひと仕事しなきゃねぇ……」
疲れの滲み出た声で呟くと、紅玲は盛大なため息をつく。
借金はなんとかすべて返済できた。闇金の水増しも、紅玲が予備で持っていった金で足りたが、彼の手元には100万円しか残らなかった。紅玲はどの会社にも多めの金を持っていった。まともな会社は晶久のノート通りの額で完済できたが、闇金会社は数百万円多く要求してきた。ノートのコピーを突きつけてもよかったが、争いを避けるために彼らの言い値を渡した結果、本来渡さずに済むはずの予備金まで渡すはめになってしまった。

「まぁいっか、あんなところ長居したくないし」
紅玲はできるだけ前向きに考えると、晶久がいるアパートへ行く。車を駐車場に止めると、争うような声が聞こえる。
「鈴宮元社長ですよね? 今はどんな生活をしているんですか? そういえば、隠し子がいたって聞きましたよ。事実ですか?」
「うるさい、向こうへ行け!」
晶久の部屋の前では、ニヤついた男性記者と晶久が言い争っている。

(やっぱりねぇ……)
紅玲は車から降りると、ふたりの元へ行く。
「ねぇ、何してるの?」
「紅玲……!?」
「お、あなたが噂の隠し子ですか? 鈴宮元社長は、どんなお父さんでしたか?」
男性記者は、ハンディカムを紅玲に向ける。紅玲は笑顔でハンディカムを奪取すると、記者にレンズを向けた。

「ちょっと、返しなさい! 訴えますよ!」
「ご覧下さい、一般人のプライバシーを侵害するマスコミが被害者ヅラをしています。今、マスコミ達の恥という概念の無さが深刻な社会問題となっております。なんてね」
紅玲は必死でハンディカムを取り返そうとする男性を撮ったかと思えば、ハンディカムを地面に叩きつけた。ボロボロのアスファルトの上に、砕けたレンズが散らばる。

「あーっ! 器物損壊ですよ! 訴えますからね!」
「一般人のプライバシー侵害してる奴が、ふざけたことぬかしてんじゃねーよ」
ドスの効いた紅玲の低い声に、記者は怯んで悲鳴をあげる。紅玲はハンディカムを拾ってメモリーカードを取り出すと、ジッポライターで火あぶりにする。
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