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愛を嗅ぐ【完結】
第3章 診断結果
診断結果



「…うむ、概ねあなたの症状は把握しました。今、あなたに記入してもらった問診票は心理検視の側面もあって、その結果からR子さん、あなたが抱えている心の悩みは文字通り、あなた自身の自らに向きあう気持ちの問題で、特に精神的な病いには該当しませんよ」


”やっぱりだ…”


W氏のこの言葉を耳にした瞬間、R子は心の中でそう呟くと、わずかながらガクッと肩を落とした。
だが、W氏は”それ”を見逃さなかった…。


***


「R子さん…、あなたはこれまで複数の専門医で受診されて、さぞ長々とした”病名らしきもの”を、突きつけられたと思う。それで施されたのは、精神を安定させるとかの気休め薬と聞き流す程度のカウンセリングだったんじゃないですか?まあ、中には催眠療法を用いた医師もおったでしょうが、そんなもん、あなたが抱える悩みの解決法になり得ない」


これは、R子にとってまさに図星であった。
そこで彼女のネクストは極めて明瞭極まる。


”なら、Wセンセー、あなたは何をしてくれるって言うの?”


…で、あったが、ここでも彼女の心の訴えを、即W氏は明確にキャッチした。



***


「そこで私の対症法ですが、シュミレーションを作って、具体的にあなたがリアルなやり取りをする。そこでの局面局面で、心も持ちようを強制矯正する施術を試みます。まあ、言ってみれば逆療法の荒療治になる。そのかわり、他の医師のように症例所持者に解決方法を押しつけることはしない。あくまであなたは私の導きに沿って対処して行けばいい」


ここでR子の目つきが変わった。


「先生!それでお願いします!」


彼女はW氏の正面で、前のめりになって、そう宣言した。


***


「まあまあ…、気持ちはわかりますが、そうはしょらないで、R子さん…(苦笑)。あなたの問診回答を見ると、今回用意するシュミレーションはもう明らかです。…あなたが周囲のハッピーをぶち壊そうとする根本心理、それは性的欲求の不充足感です!」


「!!!」


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